腹膜播種治療センター【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2024年4月1日現在)
部長 | (教授) | 北山 丈二 |
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副部長 | (教授) | 山口 博紀 |
(准教授) | 大澤 英之 | |
(准教授) | 宮戸 秀世 | |
(学内准助教) | 斉藤 心 | |
(学内准助教) | 倉科憲太郎 | |
(病院助教) | 高橋 和也 | |
(病院助教) | 風當ゆりえ |
2.診療科の特徴
腹膜播種は、胃癌、膵臓癌、大腸癌などの消化器癌や卵巣癌、尿管癌などなどさまざまな癌腫において頻繁にみられる難治性の病態である。近年の抗癌剤の進歩により切除不能進行がん患者の予後は著しく向上したが、腹膜播種に関しては未だに有効性のある治療法の開発にはつながっておらず、その予後は極めて不良である。当院では、胃癌の腹膜播種を対象として、皮下留置型腹腔内アクセスポート(以下腹腔ポート)を用いてタキサン性抗癌剤を腹腔内に反復投与する腹腔内化学療法(以下IP治療)を全身化学療法と併用する新規治療法を実施し、良好な成績を上げている。IP治療は、胃癌や卵巣癌の治療専門医を中心として、長年、試験的治療として行なわれてきており、その有効性が確認されてはいるが、本邦では未だに保険適応治療となっていないため、臨床試験あるいは自費診療の枠組みで限定的に行われている。また、感染やルートの閉塞などの腹腔ポートに特有の合併症も起こるため、設置や管理上の専門的な留意点も数多く存在する。そこで、腹膜播種治療に関わる複数の診療科(消化器外科、婦人科、泌尿器科、臨床腫瘍科)の医師が参加し、鏡視下手術による腹腔ポート作成や癌性腹水を有する患者に対する腹膜濾過濃縮再静注法(CART)などの特殊技術を統合し、臓器横断的な治療体制を整えることによって、腹膜播種患者の治療成績の向上に貢献することを目標としている。
3.実績?クリニカルインディケーター
- 腹膜播種を有する胃癌?膵臓癌患者数
- 腹膜播種を有する胃癌?膵臓癌患者の治療成績
- 腹膜播種を有する胃癌?膵臓癌に対するコンバージョン手術の数
- IP治療に関する臨床研究の実施件数
4.2024年の目標?事業計画等
- 腹膜播種を有する胃癌患者に対するSOX+パクリタキセル腹腔内投与の継続
- 腹膜播種を有する膵癌患者に対するS1+パクリタキセル全身+腹腔内併用投与療法の継続
- 腹膜播種を有する胃癌患者に対するIPパクリタキセルを含めた治療レジメンの有用性を検討する新規臨床試験の実施。