小児画像診断部【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2024年4月1日現在)
部長(教授) | 松木 充 |
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副部長(講師) | 古川理恵子 |
医員(病院講師) | 中田 和佳 |
2.診療科の特徴
医療が臓器別に専門分化が進む現在、全身を診る唯一の診療科が小児科であるが、我々小児画像診断部もそれにならい、全身の疾患を画像診断の対象としている。その特徴を一言で言えば「適応から判断し検査計画の立案から始まる画像診断」となる。そのために、超音波検査も装置を自前で所有し引き受けている。
小児画像診断部は自前のカンファレンス室を有している。JUMP(電子カルテ)、PACS(画像診断電子保存供覧システム)を大画面プロジェクター(DICOM対応)で映写し、出席者に供覧して議論することが可能である。このカンファレンス室ではとちぎ子ども医療センターの医師と定期画像診断カンファレンス[3-2)参照]を開催し、依頼医との関係が「オーダーと読影レポートの往復」で終わらない工夫をしている。
専門医
日本医学放射線学会放射線科専門医 | 松木 充 |
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古川理恵子 | |
中田 和佳 | |
日本核医学会 核医学専門医 | 中田 和佳 |
日本医学放射線学会研修指導者 | 松木 充、古川理恵子、中田 和佳 |
日本乳がん検診精度管理中中央機構 検診マンモグラフィ読影認定医師A評価 | 1名 |
3.診療実績(検査を行い読影レポートを付したもの)
1)検査件数
単純X線写真 | 438 |
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CT | 497 |
超音波 | 762 |
MRI | 1,314 このうち、胎児MRI 12件 麻酔科医による全身麻酔下でのMRI 5件 1泊検査入院によるMRI 17件 |
他院検査の取り込み画像に対するレポート作成 | 18件 |
鎮静を試みたが入眠剤せずMRIを行った検査実績を下に示す:
鎮静を試みた検査件数 | 510件 (全検査件数は1,417件註1]) |
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入眠せず検査が中止(のべ) | 52件註2] |
中止割合 | 7.3% |
1日平均中止件数 | 0.42件(有効数字2桁) |
検査中止までの平均拘束時間 | 123分 |
検査中止までの最大拘束時間 | 240分 |
検査中止2回以上かつ2時間以上の待機を要した事例 | 3件 |
註1] 中止となった検査を含む。
註2] 鎮静せずに検査を試みたが静止が得られなかった、あるいは鎮静剤服用前の絶飲食時間が守れなかった、患者都合などによる中止が計51件あった。
麻酔科医による全身麻酔下でのMRI | 5件 |
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2)画像診断カンファレンス
(会場: 小児画像診断部カンファレンス室)
小児科 | 月曜、木曜?13:00から |
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小児外科 | 月曜?16:00から |
尿路(小児科、小児泌尿器科) | 火曜?17:30から |
小児整形外科 | 月曜?17:30から |
NICU | 金曜?12:45から |
Tumor board | 第3月曜?15:30から |
その他症例により関係各科が随時時間を調整し集まっている。
3)附属病院放射線科との関係
血管造影検査、血管内治療、IVRは附属病院放射線科が担当している。
4)機器更新
なし。
4.2024年の目標?事業計画等
- 2023年4月から3テスラMRIが稼働となった。3.0TMRIによって、中枢神経系を比較的短い時間で、高分解能撮影することが可能になった。また拡散強調像、MRスペクトロスコピーを用いた定量評価も精度が増し、functional MRIも実用化できるようになった。現在、脳神経外科と連携し、functionalMRIの研究を進めている。一方、胸部、腹部領域はアーチファクトが顕在化し、1.5Tより劣る部分がある。特に沈静下、息止め不良の小児には不向きであるが、その点を解決できるよう撮影法の工夫?改善に取り組んでいる。
今後、さらに診療科およびメディカルクラークなどと連携し、入院以外の検査についても、検査(準備段階から)の効率改善、患者とその家族への説明の充実を図っていきたいと考えている。今後、これらのことをさらに小児科医に宣伝?啓蒙し、件数の増加に努める。 - MRIの検査オーダーとして、直接入力できる入力枠と直接連絡を受けて検査日程、時間を決める連絡枠があった。今まで、鎮静必要な患者さんや緊急依頼を考慮し、入力枠と欄楽枠の数が半分半分であった。そこで、現在入院患者さんのみなど制限をつけて、入力枠を1週間18件を36件に増やし、主治医が検査オーダーをしやすくした。これによって検査数が増えると見込んでいる。
- こども医療センターに隣接して、放射線治療棟が開設され、成人の放射線治療患者さんのMR検査を毎週木曜午後に積極的に対応できるようにし、検査数の増加を期待する。