医療保育士の活動【アニュアルレポート】
1.医療保育士の役割
当センターでは病気を抱える子どもとその家族のQOLの向上を目指すことを目的に、複数の医療専門職と連携を図りながら保育を実践している。以下に医療保育の目標を記載する。
<医療保育の目標>
1.子どもに対しての目標
- 安全と安心を提供する
- 生活を整える
- 発達を促進する
- 恐怖や苦痛、不安、ストレスへの対処を支援する
- 地域とのつながりの維持、拡大を支援する
2.保護者に対しての目標
- 不安、ストレスを軽減する
- 子育てのスキルを獲得し、自信を持てるようにする
- ソーシャルサポートにつなげる
- きょうだいへの支援
患児個々の成長発達状況や安静度等多方面からアセスメントをし、他職種と協働しながら必要な支援を計画し実践している。そして、個別保育や集団保育をとおして、医療保育の目標を達成できるような介入をしている。
2.院内活動
1)2023年度の活動と主な行事
医療保育士は2A病棟3名、3A病棟3名、4A病棟2名の計8名の配属(うち2名は育児休業)である。当該部署およびNICU、PICUの保育を実践した。
今年度は各部署の特徴に応じた保育を実践した。4A病棟では長期入院中の重症度の高い乳幼児を対象に個別のニーズに合わせた保育を実施した。看護師と連携することで日々病状が変化する幼児と家族に対し保育を実施し、退院が困難な呼吸器を装着した子どもと家族で楽しい時間を過ごす支援ができた。3A病棟では、小児整形外科の学童児と家族が、入院前から転籍や登校に不安を抱えていることに対し、入院前に情報が得られるようにパンフレットを作成した。パンフレットにはベッドやリクライニング車椅子での登校の様子などを写真に取り込み、工夫したことで、患児?家族の不安軽減につながった。今後、外来で積極的に使用していく。2A病棟では、幼児が安心安全に入院生活を送ることができるよう情緒の安定につながる保育計画を立案し関わった。
感染予防の観点から、集団保育や行事は工夫して開催した。各部署で季節の行事を行ったり、地域や公益財団法人等からいろいろなプロジェクトの提供をいただき、絵本カーニバル、ハートフルカート、クリニクラウンなどを開催した。患児や家族が楽しいひとときを過ごすことができた。
「NPO法人あそびのむし」からは、おもちゃの寄贈があり、保育士はオンライン研修会に参加し、寄贈されたおもちゃの遊び方や季節の遊びを学んだ。今後の病棟保育に活かしていきたい。
2)医療保育士ラダー
医療現場における保育士が、医療保育実践能力を向上させ、子どもや家族に質の高い保育を提供できることを目的に、保育士ラダーを実施している。
今年度は1名がラダー1を終了した。3名がラダー2にトライ中である。
3)保育士会
保育士会を定例で開催し保育士が行う係活動の報告、保育記録の充実やアセスメント力を高めるための勉強会を開催した。以下に係活動の内容を記載する。
(1)記録係
目標:保育記録監査が2回実施できる
7月と1月に記録監査を実施した。今後も保育記録の質的監査を実施し、保育の質を高めていくことが課題である。
(2)業務係
目標:保育士の1日の流れ?クリニクラウンの基準手順の見直しを行う。
保育士の1日の流れ?クリニクラウンの基準手順の見直しは終了した。年度末に物品倉庫の清掃を全員で行い、破損したおもちゃなどの廃棄をした。物品倉庫は今後、定期的に清掃を行っていく。
3.院外活動
- 一般社団法人日本医療保育学会認定「医療保育専門士」:1名が資格を更新した。
- 子ども療養支援協会主催 足彩胜负彩5年度子ども療養支援士養成コース講師「遊びと保育」「多職種との協働」
- 東京家政大学狭山キャンパス講義「病棟保育の実践」