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放射線治療部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2024年4月1日現在)

部長 白井 克幸
技師長 根本 幹央
診療放射線技師(総数) 16名

放射線診療業務には画像診断領域と、がん治療領域の2種類が存在しており、両分野とも専門性が高い。放射線治療は、がん治療の3本柱の一つと言われ、多くのがん患者に対して治療を行っている。放射線治療部のスタッフは、放射線治療医?診療放射線技師?看護師?事務職員で構成されている。

2.放射線治療部の特徴

放射線治療部は高エネルギー放射線を用いて、がん患者の治療を行う部署であり、根治?予防?緩和医療と多岐にわたって、患者の生命や予後に関与している。放射線治療部では、リニアック4台、密封小線源治療装置1台、外部放射線治療計画用CT装置1台、密封小線源治療計画用CT装置1台を保有しており、これらを使用して放射線治療を行っている。2023年の新規患者数は869名で昨年よりも微増した。また、再診患者は1035名であり、年間の延べ治療患者数は18400名程になっている。近年は従来の分割照射よりも寡分割照射(一回線量を増加して短期間で照射を終了する)の適応患者が増えている。このため新規患者数は微増しているものの、のべ患者数は減少傾向となっている。

次に照射内訳であるが、外部放射線治療では造血組織系疾患に対する全身照射が24名となっており、昨年の倍以上に増えている。放射線による外科手術とも言われる定位照射では71名(脳定位11名、体幹部定位60名)に治療を行っており、2021年から2年連続で1.5倍へと増加している。高精度治療の中心を成すVMAT(回転型強度変調放射線治療)の実施率は全治療患者の30.4%で、2022年よりも5%増加した。根治療法としての恩恵を享受できる重要な照射技術であるため、対象部位は従来の前立腺癌や頭頸部腫瘍だけでなく、脳腫瘍、食道癌、進行期肺癌へと今後益々拡大することが容易に想像される。

密封小線源治療については、患者数62名(婦人科疾患50名、口腔外科?耳鼻咽喉科関連12名)となっている。全症例で画像誘導密封小線源治療(IGBT)が実施されており、組織内照射を組み合わせた組織内照射併用腔内照射(IC/IS)は、日常的に実施されている。高精度外部放射線治療や密封小線源治療のような照射技術を安全に実施するためには、高い専門性が求められる。このためスタッフには、関連資格の取得を強く推奨している。現在、関連資格を持つスタッフ(複数種の取得含む)は以下の様になっている。

日本放射線腫瘍学会 認定施設(A)

放射線治療専門医 3名
医学物理士 5名
放射線治療専門放射線技師 6名
放射線治療品質管理士 8名
がん放射線療法認定看護師 1名

3.放射線治療部の業務件数推移

高精度治療件数?通常治療件数?年間新患数 件数推移グラフ
密封小線源治療件数グラフ

4.2023年の事業報告

自治医科大学付帯設備整備事業の一環として、こども医療センター北側の第7駐車場内に放射線治療棟の建設が開始され、2023年12月初旬に竣工?引き渡しを迎えた。新治療棟は地上3階建て(3階は本館連絡通路)で、1階には外部放射線治療室および密封小線源治療室として合計6つの治療室が用意された。そして、2階には放射線治療科の診察室、治療計画用CT室、治療計画室、カンファレンス室等が整備された。外光を取入れた明るくゆったりした患者待合と、自由に使える休憩室、複数の患者説明室が備えられている。開放的な待合空間は患者に閉塞感を感じさせず、新設された衛生設備、患者案内用の大型デジタルサイネージ等々により、放射線治療をうける患者へのホスピタリティが大幅に改善された施設に変わることが出来た。

業務運用の変更点としては2023年12月中旬より、附属病院開院当初から使用してきた本館西棟地下区画から新棟への業務移管を始めた。2024年1月より診察業務、外部照射用治療計画撮影、治療計画業務が新棟にて開始されることになった。また、この年越しの際には病院情報システムの更新があり、電子カルテシステム?放射線治療部門システムの大幅な変更も行われた。

2024年2月には本館より移設した密封小線源治療機の調整、同室内の計画用CT装置?透視装置の設置が終了し、新棟で初めての婦人科治療が始まった。続く翌3月後半には、新規導入した2台のリニアックも稼働を始める事となった。本館側ではリニアック3台のうち18年間使用した最も古いリニアック1台を停止させて、シンプルな照射方法を行う症例を対象に、残る2台の装置が稼働を続けている。このように新棟側の2台は高精度治療用として、本館側の2台は従前の標準的な治療用へと症例を分担して、多くのがん患者の治療に当たっている。

特筆すべき点は、新棟に設置した2台のリニアック(VARIAN社製TrueBeamおよびE-THOSHalcyon)の性能である。多目的汎用機であるTrueBeamには、この数年実施できていなかった脳定位照射機能(HyperArc)が搭載されており、体表輪郭認識技術による画像誘導装置(Vision-RT)も設置され、様々ながん治療に対して高精度な治療を行うことが可能になっている。

一方、E-THOSHalcyonは高精度治療専用機であり、即時適応放射線治療(AdaptiveRadiotherapy)が行える新型リニアックとなっている。この照射技術は、治療期間中の病巣変化や臓器の位置移動?変形に合わせて最適化?再計画することで、日々の患者状態に合わせた個別性の高い治療を行う事が出来るという特徴がある。更にHyperSightと呼ばれる画像誘導治療用の最新撮像機能を搭載しており、本稿執筆時点(2024年6月)でのAsiaPacificJapanにおいては、唯一本学に設置されているのみである。そして未だに全世界でも何十台と稼働していない高性能特殊治療機でもある。

5.2024年の目標?事業計画等

新棟のリニアックは稼働し始めたが、すべての機能を臨床使用できている状態には至っていない。前述した脳定位照射および適応放射線治療は、非常に有効な照射手技であるが、現在のところ準備段階となっている。このため短期的な目標としては、2024年度前半のうちに初例を実施して、徐々に対応患者数を増やしてゆくことが重要であると考えている。そして年間の目標としては、高精度治療実施率の更なる上昇にある。患者?附属病院の双方にとって有意義なことでもあるため、特に注力してゆきたい。長期的目標としては付帯設備整備事業の当初に、本館リニアックの稼働を停止させながら新棟に更新機を導入し、2028年に新棟での4台体制へと完全移行する予定が組まれている。この方針通りに業務移管が終了できるよう、新棟稼働状況を安定させて、試算通りの稼働数をしっかりと実現できるよう努力したい。

またタスクシフト/シェアの推進により、医師の行う治療計画業務の一部を、診療放射線技師が実施する状況が加速している。計画担当スタッフの物理?技術職としての向上はもとより、放射線腫瘍学の臨床的知識の習熟も進めてゆき、高精度治療をより安全かつ効果的に実現できる助力となれるようにしてゆきたい。

過去実績