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小児脳神経外科【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2024年4月1日現在)

科長(学内教授) 五味  玲
臨床助教 小熊 啓文

2.診療科の特徴

脳腫瘍、先天奇形(二分脊椎、水頭症など)、脳血管障害(もやもや病など)、外傷、てんかん?痙直などの機能的疾患など、小児脳神経外科疾患全てをまんべんなく扱っている。五味、小熊にくわえ、脳神経外科専攻医が交代で小児研修に来ており、3人体制となっている。

①頭のかたち外来

2021年に開設した「頭のかたち外来」は「向き癖」などによる頭部変形に対して、ヘルメット矯正治療を行うもので、高額な自費診療となるが、数多くの患者さんが来院されている。

2021年6月の開設から2023年12月までに「頭のかたち外来」に500名近く受診されており、2023年は84名の頭蓋形状矯正ヘルメット作成を行い治療した。患者さんのほとんどは栃木県内からであるが、茨城県、群馬県はもちろん埼玉県、福島県、青森県からの患者さんもいた。

受診は紹介を原則としている。希望者全員にヘルメット矯正治療をしているわけではなく、開始時の月齢が7か月以上の場合や、軽症例ではあまりお勧めしていない。にもかかわらず、高額な自費でのヘルメット矯正治療を希望される方はいる。

治療の流れは①初診(保険診療)で診断、②頭部のスキャン(この際に治療費一括納入)、③スキャンの2週間後にヘルメット完成し治療開始、④4週ごとにクッションの交換、⑤装着後約6か月で治療終了(クッションの交換は5?6回)となる。

つまり初診から治療開始まで、最短2週、通常3?週になるので、初診時に生後6か月でも治療開始時点で生後7か月以降になる。できれば治療開始が生後4-5か月が理想である。

スキャンやクッションの張り替えは業者の方にお願いしている。これが2週毎のため治療中の患者さんの半数がその日に集中する。その結果、金曜日の午後だけで予約患者数が40名前後となっている。

ヘルメットは、当初は「アイメット」を用い、2022年4月から「クルム」を使用している。さらにヘルメットの改良について、業者に協力して取り組み、その結果、新しい「クルムフィット」を開発、2024年から使用開始となっている。

②脳脊髄腫瘍

当科での手術、放射線治療部での治療、小児科での化学療法と、総合的な治療体制を確立して治療に当たっている。

2022年は腫瘍関連の手術数は摘出術8例12手術、内視鏡生検2例、定位的生検1例であった。初発例は8例。胚細胞腫瘍3例(松果体2例、基底核部1例)、ランゲルハンス細胞組織球症2例、視神経膠腫、グリア神経系腫瘍、上衣下巨細胞性星細胞腫、各1例であった。再発例は2例で、上衣腫と頭蓋咽頭腫であった。

死亡例は3例あり、このうち2例は小児緩和ケアチームの地域連携体制のもと在宅医と連携し、在宅療養と平行して外来での化学療法を長期行ってきていた例である。1例は悪性星芽腫の23歳の男性で、在宅でのお看取りの方針で地域連携体制を組んだが、最終的には家族が在宅療養が難しくなり、在宅医関連の地元の病院に入院しての死亡となった。髄芽腫播種再発で小児科と共同で外来治療を行っていた女児は、そのまま在宅でお看取りとなった。死亡例のもう1例は松果体胚細胞腫瘍の12歳男子である。数日前からの体調不良で前日に頭痛?嘔吐で他院に入院し、当日意識障害出現し脳腫瘍?水頭症と判明、救急搬入されたが、搬入時すでに昏睡状態?呼吸不安定で手術を行うも低酸素脳症となっており救命できなかった。典型的な腫瘍救急で、地域連携でフィードバックし対応を再考すべき貴重な経験であった。

化学療法例8例のうち、2例は初発胚細胞腫瘍、2例はランゲルハンス細胞組織球症で、いずれも組織診断を施行後、小児科に転科し血液腫瘍班で治療していただいた。15歳の一側眼窩内の視神経膠腫(毛様細胞性星細胞腫)の女子は、画像診断後小児科での化学療法を施行したものの副作用が強く中止し、手術摘出を行った。外来での化学療法は、髄芽腫の治療、悪性星芽腫のベバシツマブ+TMZ治療、再発上衣腫に対する経口VP-16療法を行った。増悪?再発例におけるQOL維持に寄与している。

放射線治療についても、放射線治療部と週1回カンファレンスを行い、綿密な連携体制のもと施行している。積極的にIMRTを用いて、正常組織への照射量低減を試みている。定位放射線治療が必要な場合は、これまでは主に宇都宮セントラルクリニックでのサイバーナイフ治療としてきたが、2024年からは当院の新施設での治療となる。

脳腫瘍の遺伝子検索が発達し、診断?治療に大きく寄与している。今年はがんゲノムプロファイリング検査(パネル検査)を施行した例はなかったが、JCCG(日本小児がん研究グループ)の固形腫瘍観察研究における遺伝子検索には5例提出した。中央病理診断や遺伝子検索で診断が変更となった例が1例あった。

③先天性疾患(二分脊椎、水頭症など)

脊髄髄膜瘤症例は1例修復術があった。産婦人科で出生前診断されており、出生前に外来で十分説明を行い、小児科NICUや形成外科とも連携し、術前検討も十分行うことができて、スムーズに治療できた。この1例は水頭症に対し修復術と同時シャント手術を施行した。

2022年にはProGAVシャントシステムを導入したが、2023年にはCERTASシャントシステムを導入した。2021年までシャントシステムは、可変式はコッドマンハキムを用いていたが、子ども医療センターのMRIが3Tになったことを契機に、MRIで設定圧が変わらないシャントシステムを導入した。CERTAS はバーチャルオフ機能もあるため、シャント抜去が可能かどうかの評価もできる利点がある。2020年から抗菌薬含浸のバクティシールカテーテルを用いておりシャント感染は減少しているが、残念ながら新しいシャントバルブでこれを含むセットはない。やはり感染の懸念があるためシステム構成を検討している。また、配給元の問題でバクティシールの供給が滞っており問題となっている。乳幼児の新規シャントはこの1例のみと以前に比べると激減しているが、これは患者数減少とともに内視鏡手術の発達によると考えられる。

係留解除手術8例全例が初発の潜在性二分脊椎であった。内訳は円錐部脂肪腫5例、終糸脂肪腫2例、先天性皮膚洞1例である。2008年に開設した二分脊椎外来も16年目となった。小児脳神経外科、小児泌尿器科、小児整形外科、小児外科、小児科などの多科が協力して診療を行っており、治療方針の決定も毎月の二分脊椎カンファレンスで検討している。13歳になって判明した円錐部脂肪腫例があったが、これも二分脊髄カンファレンスでの紹介例であった。

頭蓋骨縫合早期癒合症の手術も大きく変わってきている。従来からのMCDO法?頭蓋形成法では、主科が形成外科で小児脳神経外科が協力しての共同手術で行われている。2023年はMCDO法を2例共同で手術を行った。一方、MCDO法ができない低月齢の症例に対して、小児脳神経外科単独で縫合切除術+ヘルメット矯正治療を2021年から開始しており、2023年も2例施行した。

その他の先天性疾患では、Chiari奇形の大後頭孔減圧術が5例と多かった。くも膜嚢胞に対する手術は2023年は顕微鏡手術を1例施行した。

④脳血管障害

2023年はもやもや病のバイパス手術がなかったが、鞍上部脳腫瘍治療後の放射線障害によると考えられる動脈狭窄例があり、くり返す虚血発作が見られたためは直接血行再建術を施行し、術後症状は改善した。

脳動静脈奇形は2例であった。1例は2013年から経過をみている巨大脳動静脈奇形で、反復する強い頭痛のため治療を行うこととし、摘出を目指して段階的な血管内治療による塞栓術を3回施行し、2023年最終的に無事全摘出できた。1例は13歳の出血発症の小脳例で摘出できた。

⑤頭部外傷

頭部外傷の手術例は、0歳の急性硬膜外血腫例であった。非常に大きな右側頭部の血腫で、開頭血腫除去?外減圧を施行。直後、小脳腫脹も判明し後頭蓋窩減圧を追加、さらに数日後に脳浮腫の悪化のために、外減圧?内減圧の追加を要した。ごく軽微な外傷での重症出血で虐待も疑われたが、その後の精査で非典型的な血友病であることが判明した。

⑥機能的疾患(てんかん、痙直)

2016年から小児のてんかん手術が本格的に開始され、てんかん拠点病院であることもあり、当院小児科や他施設からの紹介例も増加してきている。2023年も5件の手術を行った。脳梁離断術2例、焦点切除術1例、迷走神経刺激装置交換術2例である。これらは、成人のてんかんチームが手術を担当し、小児脳神経外科で管理をサポートしている。

痙直に対する手術はポンプ交換が1例あった。

?認定施設

日本小児血液?がん専門医研修施設

?専門医

日本脳神経外科学会専門医 五味  玲
小熊 啓文
日本小児神経外科学会認定医 五味  玲
小熊 啓文
日本神経内視鏡学会技術認定医 五味  玲
日本がん治療認定医機構がん治療認定医 五味  玲

3.診療実績?クリニカルインディケーター

1)新来患者数?再来患者数?紹介割合

新来患者数 281人
再来患者数 1,754人
紹介率 72.8%

2)入院患者数 (病名別)

病名 患者数
頭部外傷 12
脳脊髄腫瘍 16
二分脊椎 12
水頭症 14
脳先天性疾患 10
機能(てんかん?痙直など) 5
血管(もやもや病?AVMなど) 13
その他 0
合計 82

3?1)手術症例病名別件数

病名 症例数
脳脊髄腫瘍 15
頭蓋?脳先天性疾患 11
二分脊椎 9
水頭症 20
もやもや病等バイパス手術 1
脳動静脈奇形等血管奇形 3
てんかん等機能的疾患 6
頭部外傷 3
感染 3
その他 1
合計 72

3?2)手術術式別件数?術後合併症件数

病名 症例数 合併症件数 再手術症例数
開頭腫瘍摘出術 10 0 0
二分脊椎手術(係留解除術) 9 0 0
脳室腹腔シャント術 7 0 0
血行再建術 1 0 0
MCDO 2 0 0
軟性内視鏡手術 12 1 0
血管内治療 0 0 0
その他 31 0 0
合計 72 0 0

4)化学療法症例病名別?数

病名 症例数
髄芽腫 1例(外来)
悪性星芽腫 1例(外来)
上衣腫 1例(外来)
視神経膠腫 1例
胚細胞腫瘍 2例
ランゲルハンス細胞組織球症 2例

(小児科転科で施行したものも含む)

5)放射線療法症例?数

病名 症例数
胚細胞腫瘍 3例

6)その他の療法(免疫療法)症例?数

なし

7)悪性腫瘍の疾患別?臨床進行期別治療成績

橋神経膠腫 平均生存期間9.7ヶ月
髄芽腫 5年生存率 83%

8)死亡症例?死因?剖検数?剖検率

死亡症例 脳腫瘍3例(髄芽腫1例は在宅で死亡、悪性星芽腫1例は在宅療養し死亡時は他院、胚細胞腫瘍1例は院内死亡)
剖検数 0例
剖検率 0%

9)主な処置?検査

特になし

10)カンファランス症例

二分脊椎カンファレンス
第一水曜日(祝日は休み)

2月1日 症例検討会
3月1日 症例検討会
4月5日 症例検討会
6月7日 症例検討会
7月5日 第40回二分脊椎研究会予演会症例検討会
9月6日 症例検討会
10月4日 症例検討会
11月1日 症例検討会
12月6日 症例検討会

その他は脳神経外科と同様に行っている。
小児緩和ケアチームカンファレンス(隔週水曜日)
虐待についてのカンファレンス:適宜開催

11)キャンサーボード

小児はキャンサーボード対象外
子ども医療センター内で対象症例毎に検討(画像診断部?放射線治療部?小児科等と)

4.2024年の目標?事業計画等

  • JCCG脳腫瘍グループとしての共同研究の継続
  • 頭蓋変形矯正ヘルメットの臨床研究
  • 仙尾部dimpleの長期予後の研究

5.過去実績