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循環器センター内科部門(循環器内科)【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2024年4月1日現在 派遣者除く)

科長 (教授) 苅尾 七臣
副科長 (教授) 新保 昌久
医局長 (准教授) 原田 顕治
外来医長 (講師) 小形 幸代
病棟医長 (学内講師) 大場 祐輔
(教授) 今井  靖
星出  聡
(准教授) 船山  大
甲谷 友幸
(講師) 小森 孝洋
渡部 智紀
桂田 健一
上岡 正志
(助教) 清水 勇人
横田 彩子
渡邉 裕昭
小古山由佳子
冨谷奈穂子
(病院助教) 久保田香菜
石山 裕介
藤原 健史
鈴木 悠介
奥山 貴文
篠原  肇
佐藤 雅史
青山  泰
シニアレジデント   14名

2.診療科の特徴

社会の高齢化とともに、循環器疾患とりわけ心不全は増加の一方をたどり心不全パンデミックとも言われている。また栃木県特有の気候の寒暖差は、心血管疾患の発症や増悪に深く関与し、救急患者の発生に至らしめている。

自治医大循環器内科には栃木県のみならず、茨城県、さらには群馬県、埼玉県などの隣県からも救急も含め多くの患者が紹介来院されている。昨年の外来患者総数は新患が1,319人、再来は27,478人、救急患者291人と多くの患者の診療を行った。外来診療では初診専門が1診、一般再診外来が3診、専門外来が1~2診で行っている。専門外来には高血圧外来、血管外来、不整脈外来、ぺースメーカー?ICD外来、冠疾患外来、成人先天性心疾患外来、SAS外来、弁膜症外来、肺高血圧外来を行っている。入院診療は、循環器センターとしては定床77床(内CCU10床)の外科部門と混合となっており、センター外に20床を所有している。入院患者は急性心筋梗塞、心不全、不整脈が中心であるが、近年は肺塞栓、慢性閉塞性動脈硬化症などの末梢血管疾患、血栓疾患も増加してきている。心臓カテーテル検査、経皮的冠動脈形成術は近隣の北関東の病院と比較しても件数は多く、外科治療と肩を並べられる成績が得られてきている。さらに、末梢動脈の血管形成術は近年増加の一途で、良好な治療成績を収めてきている。心不全患者に対しては基本的薬物療法の徹底と運動、食事、生活指導を多職種連携して行っている。両室ペースメーカー(CRT)および両室ペースメーカー機能付き植込み型除細動器(CRT-D)皮下ICDなども適応を見極めて導入している。カテーテルアブレーションは心房細動に対する肺静脈隔離術の症例数が大幅に増加、全体の約半数に達している。クライオバルーンを用いた肺静脈隔離術を積極的に行い、安全性を担保しつつ手技時間の短縮化と治療効果の最適化を目指した心房細動治療に取り組んでいる。ペースメーカー治療においてはMRI対応機種を基本的に植え込み、心室ペーシング部位も右室中隔を第一選択としている。ペースメーカーのリード抜去も必要症例に対し、安全に行う事ができている。心臓弁膜症治療では、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が、内科、外科、麻酔科からなるハートチームにより定期的に実施されるようになっている。マルチスライスCTによる非侵襲的な冠動脈評価はその地位を確立し、冠動脈形成術後やバイパス術後などの評価にもその力を発揮している。さらにMRIを用い、特殊心筋病変の描出にも力を入れている。また、成人先天性心疾患センターの心疾患患者も増加している。今後、地域連携をさらに強化し、栃木県南、茨城県西地区の総括的循環器診療を目指したいと考えている。

認定施設

  • 日本内科学会認定施設
  • 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設
  • 日本老年医学会認定老年病専門医認定施設
  • 日本心血管インターベンション治療学会研修施設
  • 日本高血圧学会専門医認定施設
  • 日本不整脈心電学会認定不整脈専門医研修施設
  • 経カテーテル的大動脈弁置換術実施施設
  • 日本心エコー図学会認定エコー図専門医研修施設
  • 成人先天性心疾患専門医総合修練施設
  • トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対するビンダケル導入施設

認定医?専門医

日本内科学会認定総合内科専門医 苅尾 七臣 他18名
日本内科学会認定内科専門医 鈴木 規泰 他1名
日本内科学会認定内科指導医 苅尾 七臣 他31名
内科認定医 苅尾 七臣 他31名
日本循環器学会専門医 苅尾 七臣 他30名
日本高血圧学会専門医 苅尾 七臣 他2名
日本心血管インターベンション治療学会専門医 船山  大 他2名
日本心血管インターベンション治療学会認定医 船山  大 他14名
日本不整脈学会専門医 今井  靖 他6名
植込み型除細動器(ICD)治療認定医 今井  靖 他4名
ペーシングによる心不全治療(CRT)認定医 今井  靖 他4名
日本超音波学会認定超音波専門医 原田 顕治 他2名
日本周術期経食道心エコー認定医 石山 裕介 他1名
日本心エコー図学会心エコー図専門医 原田 顕治 他1名
日本心エコー図学会SHD心エコー図認証医 原田 顕治 他1名
日本脈管学会認定脈管専門医 小形 幸代
日本臨床遺伝専門医 今井  靖
心臓リハビリテーション指導士 星出  聡 他1名
日本プライマリケア連合学会認定指導医 石山 裕介
成人先天性心疾患学会認定専門医 今井  靖 他2名
日本老年医学会老年科指導医 苅尾 七臣
日本老年医学会老年科専門医 星出  聡
経カテーテル的大動脈弁置換術指導医 船山  大
経カテーテル的大動脈弁置換術実施医 大場 祐輔 他1名

3.診療実績?クリニカルインディケーター

1)新来患者数?再来患者数?紹介割合

新来患者数 1,319人
再来患者数 27,478人
紹介率 112.3%

(紹介割合は、平成26年4月施行の医療法に基づく特定機能病院として算出した)

2)入院患者数

入院患者数  1,750人
平均在院日数 9.7日

3)急性心筋梗塞(AMI)155名

(発症24時間以内 143名)
病院到着から再灌流までの時間(Door to ballon time) < 90分達成率  64%

4)病名別入院患者人数(主病名での抽出) 2023年

分類 病名 患者数
心不全 心不全 235
虚血性心疾患 急性心筋梗塞 155
(24時間以内のAMI発症) 143
陳旧性心筋梗塞 130
狭心症 382
(CABG術後) 19
弁膜症 僧帽弁疾患 18
大動脈弁疾患 78
三尖弁閉鎖不全症 1
弁膜症その他 3
先天性心疾患 心房中隔欠損症 22
房室中隔欠損症 1
動脈管開存症 3
先天性心疾患その他 8
心筋症 拡張型心筋症 6
肥大型心筋症 2
閉塞性肥大型心筋症 1
たこつぼ型心筋症 5
心サルコイドーシス 13
心アミロイドーシス 3
不整脈 洞不全症候群 10
WPW症候群 5
ブルガダ症候群 8
徐脈頻脈症候群 4
房室ブロック 30
心室細動?心室頻拍 39
心房細動?心房粗動?心房頻拍 244
上室性頻拍症 31
心室期外収縮 23
Pacemaker?ICD交換 58
Pacemaker?ICD植え込み後感染症 5
不整脈その他 24
感染症 感染性心内膜炎 17
心筋炎?心膜炎 心筋炎 4
心膜液貯留 2
血管?血栓症 解離性大動脈瘤 14
肺塞栓症 34
肺高血圧症 9
肺動脈性肺高血圧症 10
閉塞性動脈硬化症 36
血管?血栓症その他 4
その他 肺炎(COVID-19含む) 17
蘇生に成功した心停止 15
腎不全 5
心臓腫瘍 3
深部静脈血栓症 2
脳梗塞 2
高血圧緊急症 1
敗血症 1
上記以外 27

5)治療実績

1.冠動脈インターベンション

PCI 482件

2.カテーテルアブレーション

291例

6)死亡退院症例病名別リスト

病名 人数
急性心筋梗塞 6
心不全 7
肺塞栓 1
不整脈 3
その他 19
合計 36

7)主な検査?処置?治療件数

①カテーテル検査?治療

心臓カテーテル検査 1,640件
(含:緊急カテーテル)(282件)

PCI 482件
AMI?UAP 231件
Rotablator/OAS/ELCA/IVL 9/23/14/10件
IVUS?OCT 658件

TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術) 38件

カテーテルアブレーション 291件
(内訳)

※心房細動 191件(うち、63件がクライオバルーン)
心房粗動?心房頻拍 48件
上室性頻拍 38件
流出路起源期外収縮?心室頻拍 24件
左室起源特発性心室頻拍 9件
心室頻拍(器質的心疾患に伴うもの) 2件

※心房細動(肺静脈隔離:症例により三尖弁下大静脈峡部、上大静脈隔離を追加)

末梢血管疾患のカテーテル治療 59病変(38症例)

下肢末梢動脈疾患 大動脈腸骨動脈領域 29病変
大腿膝窩動脈領域 17病変
下腿動脈領域 11病変
下肢以外の末梢動脈疾患 腎動脈領域 2病変
肺動脈領域 0病変
その他の末梢血管疾患 肺静脈領域 0病変

IVC filter挿入 7件

②CT?核医学検査

マルチスライスCTによる心臓(冠動脈)診断 680件

心臓PET-CT 55件

心臓MRI 198件

心筋シンチ 608件

テクネ負荷心筋(合計) 370件
  (運動負荷) (166件)
(薬剤負荷) (204件)
安静タリウム心筋 3件
心筋(タリウム+BMIPP) 55件
BMIPP心筋シンチ 0件
MIBG心筋シンチ 142件
安静テクネ心筋 4件
心筋ピロリン酸シンチ 34件

③デバイス関連手術

デバイス植込み?交換 187件

ペースメーカー 新規 65 房室ブロック 33
洞不全 15
徐脈性AF 16
交換 51 房室ブロック 37
洞不全 11
徐脈性AF 3
リード再固定 0
リード抜去 5
ICD/CRT 新規 30 新規ICD植込み
(うちSICD 4件)
19
新規CRT-D,?P植込み 10
新規ICM植込み 6
交換 28 ICD交換 19
CRT-D,-P 交換 10
リード抜去 2

(新規合計 95件、交換合計 79件、その他 6件、抜去 7件)

④生理機能検査

トレッドミル負荷試験 93件

循環器内科(外来) 74件
循環器内科(入院) 2件
他科 17件

心肺運動負荷試験(CPX件数) 97件

循環器内科 (外来) 42件
循環器内科 (入院) 51件
他科 4件

心臓エコー検査 8,024件

  循環器内科 心外+他科 合計
外来 4,133 -件 4,133
入院 3,469 422 3,891
総合計 7,602 422 8,024

(経食道エコー 223件)

Holter心電図検査 1,590件

循環器内科(外来) 962件
循環器内科(入院) 95件
その他 533件

late potential検査 66件

循環器内科(外来) 34件
循環器内科(入院) 31件
その他 1件

⑤リハビリテーション

心臓リハビリテーション 8,043件

8)カンファレンス?教授回診?抄読会 水 8:00~14:00

(Clinical Update Conference、Clinical Report Conference)
on-lineも利用したハイブリッド開催(12:30~13:15)

  1. 1月11日 教授による年頭講話/JournalClub
  2. 1月18日 薬剤説明(アナフィ試験について)/JournalClub
  3. 1月25日 薬剤説明(肺高血圧症薬物治療の変化について)/JournalClub
  4. 2月1日 薬剤説明(SGLT2 阻害薬の適応拡大)/JournalClub
  5. 2月15日 薬剤説明(EMPULSE試験の紹介)/JournalClub
  6. 2月22日 日循 第267回関東甲信越地方会予演(2演題)
  7. 3月1日 第87回日本循環器学会学術集会予演①
  8. 3月8日 第87回日本循環器学会学術集会予演②
  9. 3月15日 薬剤説明(VISION Study)/JournalClub
  10. 3月22日 派遣医師壮行会
  11. 4月5日 新年度のご挨拶/新入医局員?派遣復帰医師歓迎会
  12. 4月12日 学位審査予演「高血圧患者における腎デナベーションの降圧効果:無作為化シャム対照比較試験のシステマティックレビューとメタ解析」(小古山由佳子)
  13. 4月19日 メーカー説明<着用型自動除細動器(WCD)の概要と適応>/JournalClub
  14. 4月26日 第11回TIJ Network Meeting (Web)
  15. 5月10日 薬剤説明(腎性貧血治療薬)/留学報告(米国 Columbia大学:水野裕之)
  16. 5月17日 薬剤説明(慢性腎不全に対する使用成績)/ガイドライン解説「2023年改訂版 心筋炎の診断?治療に関するガイドライン」
  17. 5月24日 薬剤説明(新規2型糖尿病治療薬)/第96回日本超音波医学会予演「孤発性収縮性心膜炎の原因としてのIgG4関連疾患」(佐藤雅史)
  18. 5月31日 薬剤説明(糖尿病性腎症を合併した高血圧症における降圧効果)/日循 第268回関東甲信越地方会予演(1演題)
  19. 6月7日 入局説明会「循環器内科まるごと説明会」
  20. 6月14日 日循 第268回関東甲信越地方会予演(3演題)
  21. 6月21日 薬剤説明(気管支喘息、COPD対応3成分配合吸入薬について)/「ガイドライン解説2023年改訂版 PCPS/ECMO/循環補助心内留置型 ポンプカテーテルの適応?操作」
  22. 6月28日 「我々はChatGPT?生成AIをどう扱うべきか」
  23. 7月5日 内科学会 第688回関東地方会予演(2演題)
  24. 7月12日 学位研究報告「敗血症性心筋症におけるNLRP3インフラマソーム誘導性IL-1β/IL-18の役割の解明」(藤村研太)

< 夏季休会 >

  1. 8月23日 日循 第269回関東甲信越地方会予演①(2演題)
  2. 8月30日 日循 第269回関東甲信越地方会予演②(2演題)
  3. 9月6日 内科学会 第689回関東地方会予演(2演題)
  4. 9月13日 薬剤説明(鉄欠乏性貧血治療剤他)/不整脈update
  5. 9月27日 薬剤説明(海外VTE Cancer ガイドライン)/ガイドライン解説:睡眠時無呼吸症候群」
  6. 10月4日 薬剤説明(解析結果報告)/第71回日本心臓病学会学術集会報告「本態性血小板血症を背景にST上昇型急性心筋梗塞を発症し、超急性期ステント血栓症を合併した1例」(鈴木規泰)
  7. 10月11日 薬剤説明(GIP/GLP-1受容体作動薬)/JournalClub(NEJM)
  8. 10月18日 武田憲彦教授 東京大学教授就任記念講演会「新たな視点から捉える生活習慣病」
  9. 10月25日 薬剤説明(EMPA-ELDERYL試験)/CSAのガイドライン解説
  10. 11月1日 AHA予演①
  11. 11月8日 AHA予演②
  12. 11月22日 薬剤説明(NSTEMI Plaqueに対する効果)/心筋生検?病理から考えられること
  13. 11月29日 第51回下野循環器研究会(19:00~)
  14. 12月6日 薬剤説明(CKD診療ガイドライン2023について)/AHA報告会(加倉井、須田、蓮見)
  15. 12月13日 入局のご挨拶 /日循 第270回関東甲信越地方会予演(1演題)
  16. 12月20日 第12回 TIJ Network Meeting(19:00~)

合同カンファレンス

  • 心カテカンファ 月~金 9:00~9:30(循環器内科?看護師?臨床工学士?放射線技師)
  • 心不全多職種カンファ 月 17:30~(循環器内科?看護師?理学療法士?臨床心理士?栄養士?薬剤師?保健師)
  • 不整脈カンファ 月 18:00~(循環器内科?臨床工学士)
  • 血管カンファ 火 18:00~(循環器内科?心臓血管外科)
  • SDHハートチームカンファ 水 16:30~(循環器内科?心臓血管外科)
  • 成人先天性心疾患カンファ 水 18:00~(循環器内科?小児先天性心臓血管外科?小児科)
  • カルディアックカンファ 木 7:45~8:30(循環器内科?心臓血管外科?小児科)
  • ブレインハートミーティング 月1回 木 17:00~(循環器内科?神経内科?小児科)

4.2024年の目標?事業計画等

  1. 心疾患治療部の今年度の目標としては、基本的な感染対策を講じつつ、3つのカテーテル室を有効利用してさらに治療実績を重ねていきたい。
    ①急性冠症候群に対する迅速なカテーテル治療の実践として、全症例でのdoor-to-balloon時間90分以内の達成、②Poly-vascular diseaseの増加に伴う全身血管の包括的インターベンションの実践、③ハートチームによる手術リスクの高い大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)について、今後も地域連携を強化し良好な成績を目指す。ウイズコロナ時代に適応し、他医療機関で対応できない重症症例を受け入れ、引き続き最後の砦としての診療を担って行きたい。
  2. カテーテルアブレーションにおいてカテーテルアブレーションの古典的適応疾患(発作性上室性頻拍症、心室頻拍症など)の症例数を維持しつつも、需要が著増している薬剤抵抗性発作性?持続性心房細動が大半を占め年々症例数は増加している。冷凍クライオバルーン治療および高周波アブレーション治療ともに新しい治療機器を活用しつつ安全かつ治療成績の向上を図り、肺静脈隔離術の症例数を重ねており、再発回避率(初回治療)が発作性75-80%、持続性60%と好成績である。また高密度3次元マッピングを活用しつつ難治性不整脈(陳旧性心筋梗塞、2次性心筋症に伴う心室性不整脈、心臓術後症例)に対して心外膜からのアプローチを含め積極的に取り組んでいる。近年増加する成人先天性心疾患の関連した頻脈性不整脈に対しても最新の解像度の高い3次元マッピングを用いて複雑な頻拍回路の同定が可能となり、積極的にアブレーション治療を進めてきた。また小児循環器科と連携を行い、小児頻拍性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療も行っており、いずれも良好な成績が得られている。年々増加する心房細動治療に応えるべく、今後、より一層安全かつ確実なカテーテルアブレーション治療実績を重ねていきたい。
  3. 植え込みデバイスについて、ペースメーカーはMRI対応機種を原則とし、適宜リードレスペースメーカーの手術も行っている。またICD、CRT-Dといったハイパワーデバイスについては県内における中核施設として症例数を維持しながら遠隔管理システムを活用したデバイス管理を行っている。ペースメーカー、ICD、CRT合わせて150例程度の手術を安全に行いながら、集積されたデータベースを活用して学術活動を推進していきたい。また、レーザーシースを用いたリード抜去や、皮下型除細動器(S-ICD)の手術も引き続き行っていく。植え込み型ループ心電計(ILR/ICM)も引き続き神経内科と連携し、植え込みを積極的に進めている。
  4. 心臓超音波検査は循環器診療においてもはや必須事項である。当科では、疾患や病態に基づきより詳細な「構造的評価」「血行動態評価」を目指し、ますます複雑化する心疾患の治療方針の決定や治療効果判定の中心的な役割を果たしたい。特に経食道心エコー検査における3D解析、ストレインイメージングや負荷心エコー法を用いた心機能評価を日常の検査でも積極的に活用していきたい。経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)および経カテーテル的僧帽弁接合術(MitraClip)の術中?術前後における心エコー検査は不可欠であり、今後もハートチームの中でも積極的に介入していきたい。以上のように、心臓超音波検査は時代と共により高度な専門的知識や技術が要求される。心臓血管外科との合同カンファレンスでの情報共有や、若手を対象にした勉強会を定期的に行い、全体的なレベルアップを行っていく。
  5. 核医学検査部門は負荷試験を合併症無く安全に行うことを第一の目標とする。虚血をより明確に鑑別するために、負荷試験は充分な運動量を行い、目標心拍数到達だけではなく心筋酸素消費量と良く相関する、収縮期血圧と心拍数による二重積(Doubleproduct)25,000以上を到達するようにして、虚血の精度を改善した。負荷心筋シンチの際 テクネシウムシンチとCT同時撮影によるfusion画像により冠動脈の走行に合わせて虚血部位を同定できる。また、テクネシウムによるQGSシンチグラフィをルーティン化し、左室容量や駆出率、負荷時の一過性虚血性内腔拡大(TID)を客観的に評価し、シンチが苦手とする三枝病変の検出を可能とした。また、TlとBMIPPのdual SPECTによる冠攣縮や微小循環障害に起因する虚血や二次性心筋症の評価、さらに心不全におけるMIBGによる心筋交感神経障害評価も増加している。国内のMIBGコホート研究より死亡リスクの多変量モデルが作成され、心不全の重症度評価のみならず、心不全死および重症不整脈のリスク層別化、心不全治療効果の判定、長期予後の評価として、MIBGは有効であり、施行件数も増加している。さらにピロリン酸シンチによる心アミロイドーシスの診断や、FDG-PETを用いた心サルコイドーシスや炎症性心疾患の診断も増加している。
  6. 心臓CT検査では、被ばく低減に配慮し、冠動脈病変の評価はもとより、大動脈弁狭窄症や成人先天性心疾患を含む心構造疾患(structural heart disease)の評価における精度向上を目指す。また、MRIを用いた心機能解析、心筋障害の質的診断を引き続き積極的に行う。
  7. 心臓リハビリテーションでは、循環器内科疾患から心臓外科手術後の症例も多く導入することが出来、延べ件数として8,000件/年を超えることができた。医療側の認知度も高まってきたことがうかがえる。来年度以降も、心不全予防外来などと連携し、QOLの改善や再発予防に努める。
  8. 心不全患者や虚血性心疾患、治療抵抗性高血圧に合併する睡眠呼吸障害のスクリーニングを積極的に行う。心不全治療としての陽圧治療を積極的に導入し、心不全のQOL、予後の改善を目指す。
  9. 高血圧については、以前より高血圧専門外来を設けている。循環器内科外来に通院する症例のほとんどが対象となる、循環器リスク患者における心臓?血管関連の予後に関する前向き研究が開始され、本院で1000名以上の症例が登録された。また、手首型血圧計を用いた前向き研究も開始され、順調に登録が進んでいる。
  10. 成人先天性心疾患センターとしては、先天性心疾患症例の成人例の外来での診療及び心房中隔欠損症、動脈管開存症、卵円孔開存症に対するカテーテル治療を積極的に進めていく。Fontan術後患者の肝障害や門脈肺高血圧症(POPH)の診断?治療について消化器内科と連携して進めている。3Dプリンターの積極的利用を行い、不整脈診療などの手技シミュレーションに生かしていきたい。
  11. 心不全治療に関しては、新規心不全治療薬であるARNI、SGLT-2阻害薬、イバブラジンを加えたOMTを確実に行うことに取り組んでいる。これら新規薬剤の使用経験も増している。心不全治療の非薬物治療の必要性は明らかに増し、心移植を念頭に置いたLVAD症例が増加してきている。高齢者心不全の増加、終末期心不全への対応も課題となっている。心不全診療にかかわる多職種、地域医療を支える実地医家、介護サービスとの連携が一層必要となっている。心不全を既に発症した患者だけでなく、心不全予備群に対する取り組みを進めていかなくてはならない。

5.過去実績